中性脂肪と年齢・性別・遺伝の関係について

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中性脂肪と加齢の関係

年齢を重ねると、健康を維持するために必要なホルモンや成分であっても、分泌量や合成量が減少していきます。

そのため疲れやすくなったり、骨がもろくなったり、体内機能の低下などが引き起こされるのですが、中性脂肪の量も加齢が大きく影響しています。

健康調査においても、中性脂肪は加齢とともに増加することが分かっていますが、その理由の一つに成長ホルモンの減少が挙げられます。

成長ホルモンは成長期に当たる子供にとっても重要ですが、大人になってから分泌される場合は、健康を維持するための働きをしてくれます。

細胞分裂を促したり、細胞の修復や回復を行ったりする成長ホルモンには、脂肪を分解するという働きもあります。

そのため成長ホルモンが不足すると、脂肪分解作用が不十分になってしまい、結果的に中性脂肪が増加するのです。

成長ホルモンは睡眠中に分泌されますが、分泌量は加齢とともに少なくなるので、どうしても不足してしまい年齢とともに中性脂肪が増えるという結果になるのですね。

また、中性脂肪は肝臓でも作られています。

肝臓は、脂肪酸によって中性脂肪を作り出し、肝細胞の中に溜め込んで肝機能を働かせる時のエネルギーとして消費します。

ですが加齢とともに肝機能が衰えてしまうと、必要となるエネルギー量が減少するため、肝細胞の溜め込んだ中性脂肪は消費されずにどんどん蓄積してしまいます。

肝細胞に脂肪が溜まって30%以上が脂肪化すると脂肪肝と呼ばれる状態になり、メタボリックシンドロームを引き起こす原因の一つになります。

つまり、いわゆる中年太りというのは、肝臓で作られた中性脂肪が加齢によって消費されないことで起こるのですね。

それに年齢を重ねると、基礎代謝まで低下してしまいます。

基礎代謝というのは、普通に生活しているだけで消費されるエネルギーのことです。

基礎代謝量は個人差がありますが、一般的には20代後半から減り始めて、30代を超えると加速的に低下していきます。

そのため、それまでと同じ食生活でも、消費エネルギーが少なくなることで摂取したカロリーがそのまま蓄積して中性脂肪になってしまうのです。

もちろん定期的に運動をしていたり、常にダイエットを心がけていれば、加齢による中性脂肪の蓄積量は少なくなります。

しかし、体の衰えは誰にでも訪れるものなので、多かれ少なかれ加齢とともに中性脂肪は蓄積してしまいます。

だからこそ年齢を重ねたら、どんなに痩せている人でも中性脂肪に気をつけなくてはいけないのですね。

性別の違いと中性脂肪の数値

中性脂肪の正常値は、一般的に30から149と言われています。

数値だけ見るとかなりの幅があり、30の人も149の人も同じ正常値というのは違和感があるかもしれませんね。

これだけの幅があるのは、この数値の範囲なら特に健康を害すことはないからなのですが、もう一つ男女によって中性脂肪の数値が異なるからなのです。

同じ人間なのに数値に差があるのは、男性と女性では体質が異なるからです。

男性は基本的に筋肉量が多いので、その分基礎代謝も高く、少しの運動でも消費エネルギー量がたくさん必要になります。

そのため中性脂肪をスムーズに消費できるので、規則正しい生活をしていれば中性脂肪の数値が上がることはありません。

しかし、女性はもともと筋肉量が少ないため、男性よりも基礎代謝は低いですし、たくさん運動をしないとエネルギーも消費できません。

このように、男女の体質を見てみると分かるのですが、女性の方がどうしても中性脂肪が蓄積しやすくなっているのです。

つまり中性脂肪が蓄積しにくい体質としやすい体質があるため、正常値の幅も体質に合わせて大きく取られていることが考えられるのです。

ただし、同じ女性でも年齢や月経によって中性脂肪が蓄積しやすいかしにくいかが異なります。

実は女性ホルモンであるエストロゲンには、中性脂肪の上昇を抑えるという働きがあります。

さらに女性ホルモンには血管の健康状態を守るという働きもあるので、正常に分泌されている年齢であれば脂質異常が起こりにくいのです。

しかも女性ホルモンは内臓脂肪を増えにくくする効果もあるので、その分中性脂肪が溜まりにくいです。

逆に、加齢とともに女性ホルモンの分泌量が減少すると、それだけ脂質異常のリスクが高まりということです。

ですが、女性ホルモンの分泌量は、エストロゲンとプロゲステロンがバランスを保ちながら変化しています。

また加齢とともに分泌量は減少していくので、中性脂肪の蓄積が常に抑制されているということではありません。

月経や年齢によってホルモン分泌量は細かく変化をしていき、その影響を受けるので、中性脂肪の正常値は幅があるとも言えます。

いずれにしても、男性と女性は体質で、女性同士でもホルモンの分泌量によって中性脂肪の数値は異なります。

ですので、単に数値だけで高い低いを判断するのではなく、性別や年齢、体の状態なども合わせて正常値かどうかを確かめる必要があるので、自己判断ではなく専門医の診断を受けるようにしましょう。

中性脂肪が高い子供が増えている?

中性脂肪の数値が高い脂質異常症は30代40代の中年に起こる症状と思われがちですが、近年は子供にも発症率が高まっています。

脂質異常症は遺伝と肥満が主な原因と考えられていますが、子供に増加しているのは肥満が原因となることが多いようです。

お菓子の種類はとても豊富で、しかも高カロリー、糖質や脂質も高いものがたくさんあります。

食事にしてもファーストフードやインスタント食品を小さい頃から口にすることも多く、家での食事にしても加工食品の割合が増えています。

糖分の高い清涼飲料水、スイーツなども食生活の中に当たり前のように取り込まれている現代の子供は、肥満になりやすい条件が整ってしまっているのですね。

さらに、今の子供は運動量が少なくなっています。

時代とともに遊びの種類も変わってきていますから、公園にいてもみんなで集まってポータブルゲームをやっている子もよく見かけます。

また、小学生でも塾に通うのは当たり前の時代ですから、必然的に運動量は減少してしまうのですね。

摂取するカロリーは高くなっているのに、消費するカロリーは減っているのですから、取り込んだ脂肪は蓄積されて中性脂肪値が高くなるのも当然かもしれません。

ただし、中性脂肪が高いからといって必ず太るというわけではありません。

子供は大人よりも基礎代謝量が高いので、カロリーオーバーで運動不足でも比較的太りにくいのです。

つまり中性脂肪の数値が高かったとしても、外見の症状に現れなかったりするので気がつかないことも多いのです。

そのままの状態を放っておいて、食生活を何も変えなかったりすると、ほとんどの割合で成人になってから脂質異常症が引き起こされます。

若いうちから脂質異常症になると、その分糖尿病や高血圧など生活習慣病を発症するリスクが高まってしまいます。

もちろん肥満の症状が出ていたら、すぐに生活習慣を改善しなくてはいけません。

小児肥満は約7割が成人肥満へと移行していくと言われていますし、子供の頃から太っていると大人になってからダイエットをしてもなかなか痩せません。

遺伝だったらしょうがないと思うかもしれませんが、子供の肥満は生活習慣を規則正しくすることで改善できます。

3食しっかり食べて間食を減らす、早寝早起きの習慣をつける、できるだけ外で体を動かして遊ぶというのを徹底しましょう。

子供の生活習慣は親の指導がとても大事ですし、食生活に気を配れるのも親だけですから、子供の健康を守るためにも生活習慣をしっかり見直して一緒に改善していってあげましょう。

中性脂肪と遺伝・体質の関係

人間というのは、胎児から成長していく過程の中であらゆる遺伝子を受けとります。

両親の遺伝子を受け継ぐことによって、目が母親に似ていたり、癖が父親と同じというようなことが起こるのですね。

これは大事な親子の証ですが、厄介なことにただ顔や体つきが似るだけではなく、もともと親が持っている疾患や症状も受け継いでしまうことがあります。

よく知られているものだと、糖尿病や薄毛、肥満などがありますが、中性脂肪が高くなることも遺伝が関与していると言われています。

遺伝ならもうどうしようもない、と絶望的になってしまうかもしれませんね。

ただ、厳密に言うと中性脂肪が高いのがそのまま遺伝をするということではなく、中性脂肪を代謝する機能に異常がある状態が遺伝してしまうのです。

どんな成分でも代謝によって必要な分は体に取り込まれ、不要な分は排出されていきます。

しかし、遺伝によって先天的に脂肪の代謝に異常があると、中性脂肪の代謝がうまく行えないために数値が高くなってしまうのです。

代謝を行うのはホルモンで、ホルモンの受容体となるレセプターと結合することで、あらゆる成分をコントロールします。

中性脂肪の代謝もホルモンが行うのですが、レセプターの機能が壊れていたり、正常に働かなかったりすると、結果的に中性脂肪が高くなります。

この先天的異常はほとんどの場合遺伝なので、中性脂肪と遺伝は関係性があると言われるのですね。

また、日本人というのはもともと糖代謝がうまく行われない体質です。

それなのに、炭水化物が主成分となる米を毎食食べるという食習慣があることも、中性脂肪が高くなるのと関係があります。

炭水化物には糖質もたっぷり含まれていますが、日本人は体質的にその糖質をスムーズに代謝できないのです。

数年前から、炭水化物を抜くダイエットが人気ですが、これは糖質を摂らないことで中性脂肪の上昇を防ぎ、結果的に体脂肪を燃やすことで痩せる効果を得られます。

このことから分かるように、中性脂肪は体質によっても蓄積しやすいかどうかが分かれるのです。

ただし、いくら遺伝や体質が関係しているといっても、自分の中性脂肪の数値がこれらの影響で高いとは限りません。

中性脂肪が高くなる原因の多くは食生活にあり、糖質や脂質の過剰摂取が一番影響を与えています。

また遺伝でも体質でも、絶対に改善できないということではなく、生活習慣によって数値を下げることは可能なので、諦めずに対策を行っていきましょう。

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